【専門家監修】ターンオーバーって?仕組みや周期を整えるポイントもあわせて紹介
「ターンオーバーが乱れると、肌はどうなるの?」
「そもそも、ターンオーバーって何?」
肌の調子やトラブルで悩んでいる場合、ターンオーバーの乱れについて聞いたことがあるのではないでしょうか。
本記事では肌のターンオーバーに関する基礎知識に加え、ターンオーバーの乱れを引き起こす原因や起こりやすい肌トラブル、そしてターンオーバーの周期(サイクル)を整えるポイントについて紹介していきます。
この記事を読むことで正常なターンオーバーを目指すために必要な知識を身につけることができ、健やかで美しい肌を手に入れられるでしょう。
肌のターンオーバーについて知りたい人は、ぜひ本記事を読んでみてください。
ターンオーバーとは?
ターンオーバーという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。美しく健やかな肌を目指す際に、欠かせない皮膚の働きがターンオーバーです。
ターンオーバーとは、古い肌細胞と新しい肌細胞が生まれ変わることを指しており、皮膚の新陳代謝のことになります。このターンオーバーは起きる部位によって、表皮ターンオーバーや角層ターンオーバーと呼ばれることもあります。
肌のターンオーバーの仕組みと周期
ターンオーバーの周期について紹介していく前に、まずは皮膚の構造とその働きについてみていきましょう。
皮膚は大きく分けると、表面から表皮・真皮・皮下組織の3つの層から構成されており、さらに表皮は上部から皮脂膜・角質層・顆粒層・有棘(ゆうきょく)層・基底層でなります。
ターンオーバーは、表皮の最下部である基底層で産生された表皮角化細胞が増えて、有棘層、顆粒層と分化し、角質層を構成していきます。そして、皮膚表面に押し上げられていき、やがて垢となって剥がれ落ちていくことで1回のサイクルが完了となるのです。
そのため、健康な皮膚では一定の周期でターンオーバーが繰り返されており、たとえば顔では約4週間のサイクルが一般的になります。ただし、体の部位や肌の状態によっても周期に違いがあることを留意しておきましょう。
肌のターンオーバーの乱れを引き起こす主な要因
肌の調子が気になる場合、ターンオーバーが乱れている可能性があります。ターンオーバーを乱してしまう要因には加齢や生活習慣の乱れなどに加え、普段のスキンケアにも要因が潜んでいるケースもあります。
この見出しでは、ターンオーバーの乱れを引き起こす主な要因について詳しく紹介していきます。ぜひ、チェックしてみてください。
外部からの刺激
肌のターンオーバーのサイクルは、紫外線や乾燥といった外部からの刺激によっても乱れてしまうことがあります。
たとえば、肌は紫外線や乾燥によるダメージを受けると、そのダメージを修復するためにターンオーバーのサイクルを速めていくと一般的にいわれています。
精神的なストレス
ターンオーバーが乱れる要因の1つが、ストレスです。ストレスとは心理的、環境的、物理的なものから受ける外的負荷や刺激によって引き起こされます。
人の体はストレスを受けると、自律神経のうちの交感神経を優位にします。交感神経が優位になることで、体の中では血管の収縮や消化器機能の抑制が起こり、その状態が続くことで消化不良や免疫機能の低下などが引き起こされてしまうのです。
つまり、ストレスを受けることによって様々な体の不調が起き、ターンオーバーのサイクルに影響を与えてしまう可能性があるといえます。
食事や睡眠などの生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、ターンオーバーの乱れを引き起す可能性があります。生活習慣の乱れには、食事・睡眠・運動の偏りや不足が挙げられます。それぞれ順を追ってみていきましょう。
食事の栄養バランスが崩れてしまうと、タンパク質やビタミンB群、食物繊維などターンオーバーに必要な栄養素が不足してしまいます。
さらに、偏った栄養バランスによって腸内環境が乱れてしまうと、便秘になるおそれもあるのです。便秘になることで腸内の悪玉菌が増え、有害物質を生成・吸収していきます。最終的には、皮膚にも有害物質が溜まってしまいます。
皮膚は、この有害物質を排出しようと働くため肌に負担がかかり、その結果、ターンオーバーの乱れや肌荒れにつながっていくと一般的に考えられています。
また、十分な睡眠が取れないことも、肌のターンオーバーに影響を与えてしまうでしょう。ターンオーバーを促す成長ホルモンは、睡眠時に多く分泌します。そのため、睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌量が低下してしまうのです。
成長ホルモンの分泌量が低下することによって、タンパク質の合成や細胞組織の修復が十分にできなくなります。その結果、肌のターンオーバーが十分に行われなくなるのです。
そして、肌のターンオーバーの乱れの原因には、運動不足も挙げられます。運動不足になることで、筋肉量が低下してしまいます。その結果、血のめぐりが悪くなり、スムーズなターンオーバーが行われなくなるでしょう。
加齢
ターンオーバーが乱れてしまう要因には、紫外線や生活習慣の乱れ以外にも加齢によるものもあります。肌のターンオーバーをもたらすケラチノサイト(表皮角化細胞)の増殖は、加齢に伴い悪くなってしまうためです。
誤ったスキンケア
普段のスキンケアも実は、ターンオーバーを乱す要因になっている可能性があります。正常なターンオーバーのサイクルでは、皮膚の表面に押し上げられた角質細胞が自然と剥がれ落ちるまでに約2週間程度といわれています。
しかしながら、不十分な洗顔による角質肥厚や、誤ったピーリングによる過剰な角質除去が原因となり、ターンオーバーのサイクルを乱してしまいます。そのため、普段から正しいスキンケアが行うことが大切といえるでしょう。
ターンオーバーの周期を整えるための4つのポイント
ターンオーバーの乱れを改善し、そのサイクルを整えるためには押さえておきたいポイントがあります。洗顔やクレンジング方法といった普段のスキンケアをはじめ、食生活や運動などを見直していくことが大切です。
以下で詳しく紹介していくため、ぜひ参考にしてみてください。
- 正しいスキンケアの方法を実践する
- バランスの取れた食生活を心がける
- 紫外線の対策をしっかり行う
- 適度な運動をする
1:正しいスキンケアの方法を実践する
ターンオーバーのサイクルを整えるために、まず普段のスキンケアの方法が正しいかどうかをチェックしていきましょう。このスキンケアには洗顔やクレンジング方法も含まれているので、改めて見直す機会にしてみてください。
洗顔の方法について
肌のターンオーバーサイクルを整える1つ目のポイントは、肌に優しい洗顔です。洗顔時にゴシゴシと強く擦ってしまったり、熱いお湯を使用したりすると、肌を守る皮脂膜や角質が必要以上に取られ、さらに角質層が傷ついてしまうおそれがあります。
その結果、ターンオーバーのサイクルが速まり、サイクルの乱れを引き起こす原因へとつながっていきます。顔を洗う際には洗浄力の強い洗顔料の使用は避け、きめの細かい泡を指で滑らせるように洗うとよいでしょう。
出典:ターンオーバーの乱れを正常にして美肌美人に!|美容皮膚科タカミクリニック
参照:https://takamiclinic.or.jp/doctorscolumn/beautyskin/139065/
クレンジングの方法について
洗顔と同じように、クレンジングも肌への強い刺激を避けることが大切です。クレンジングの場合、メイクの程度に合わせて使用するクレンジングの種類を変えていくとよいでしょう。
たとえば、しっかりメイクの日にはオイルクレンジング、ナチュラルメイクの日にはミルクタイプやクリームタイプのクレンジングにします。このとき、肌への摩擦を抑えるためにも、クレンジングはたっぷり使用してください。
化粧水や保湿剤について
一般的に肌は乾燥した状態になると、ターンオーバーのサイクルを速め肌内部を守ろうとします。サイクルが速まることで角質細胞の生成が不完全になり、細胞一つひとつが小さく不揃いの状態になってしまうでしょう。
その結果、角質層が乱れ水分保持機能が働きにくくなり、ますます肌内部の乾燥が進んでしまうといった状態に陥る可能性があります。
ターンオーバーのサイクルを整えるためには、普段から保湿力の高い化粧水や保湿剤を使用し、しっかりと肌に潤いを与えることが大切です。
2:バランスの取れた食生活を心がける
肌のターンオーバーサイクルを整えるためには、普段からバランスの取れた食事が大切です。
ターンオーバーに必要な栄養素は、皮膚細胞をつくるタンパク質、皮膚や食事からの栄養の代謝を助けるビタミンB群、細胞の分裂と再生に必要な亜鉛、さらに腸内環境を整える食物繊維などになります。
具体的には、タンパク質は肉、魚、卵、大豆製品など、ビタミンB群は豚肉、牛肉、さばなど、食物繊維は野菜、きのこ、こんにゃくなどが挙げれます。
3:紫外線の対策をしっかり行う
一般的に、肌は日焼けなどで軽い炎症を起こすと、そのダメージを修復しようとターンオーバーのサイクルを速める働きがあります。速まったサイクルにより、角質細胞は不完全な状態で生成されてしまいます。
正常なサイクルを保つために、日焼け止めや日傘などで紫外線対策をしっかりと行うようにしてください。
4:適度な運動をする
一般的に、私たちの体はストレスを受けたり抱えたりすることで交感神経が優位になり、血管の収縮や覚醒反応が起こります。その結果、肌への栄養不足や消化機能の抑制状態になり、スムーズなターンオーバーが行われなくなります。
ターンオーバーの乱れを引き起こすストレスを解消するためには、3つのR(レスト・レクリエーション・リラックス)を行うことが大切です。
まず、レストとは休息や休養、睡眠のことをいいます。具体的には、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠を取ることで心と体を休ませていくことです。
レクリエーションは、脳や体を活性化させる娯楽や気晴らしのことを指します。たとえば、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動、あるいは旅行などです。
そして、リラックスとは、癒しやくつろぐ時間を持つことです。たとえば、お気に入りの音楽を聴いたり、親しい友人や家族と過ごしたりするとよいでしょう。
出典:第4回「ストレスの対処」ってどんなこと?|厚生労働省
参照:https://kokoro.mhlw.go.jp/usagi/ug004/
ターンオーバーの乱れにより起こりやすい肌トラブル
肌のトーンが落ちてくすんで見えたり、シミが目立つようになったりしている場合、実はターンオーバーの乱れが原因になっている可能性があります。さらに、肌のくすみやシミ以外にも乾燥やハリの低下なども挙げられます。
この見出しでは、ターンオーバーの乱れによる様々な肌トラブルについて、詳しく紹介していくためチェックしてみてください。
肌がくすむ
ターンオーバーの乱れは、そのサイクルが遅れてしまうことでも起きてしまうのです。サイクルが遅れてしまうことによって、本来剥がれ落ちるはずだった角質が残り続けてしまい、細胞の生まれ変わりが進みにくくなります。
その結果、トーンが落ちた肌がくすんだ状態へとなってしまいます。
毛穴の開きが目立つ
毛穴の開きが目立つ場合には、過剰な皮脂の分泌や加齢以外にターンオーバーの乱れが原因となっている可能性があります。
たとえば、角栓毛穴(詰まり毛穴)では皮脂や汚れに加え、ターンオーバーの乱れなどによって古い角質と皮脂が角栓となり毛穴を塞いだ状態です。この角栓によって長く塞がれてしまうと、毛穴を広げる原因へとなり目立つようになってしまいます。
また、毛穴の開きが目立つ原因は、毛穴に角栓が詰まること以外にも真皮のターンオーバーも関係しているのです。真皮は表皮の下にあり、そのターンオーバーのサイクルは表皮よりも長く数年程度かかるとされています。
この真皮の働きが弱まりターンオーバーが乱れてしまうことで、肌のハリがなくなり毛穴の開きが目立つようになってしまいます。
シワやたるみができる
ターンオーバーが乱れることで、角質肥厚が起き肌の柔軟性や弾力性の低下、また肌内部の水分量の減少といった状態に陥ってしまう可能性があります。その結果、肌にハリがなくなり、シワやたるみが現れてしまいます。
シミが目立ちやすくなる
肌にできるシミとは、過剰に生成されてしまったメラニンによるのものです。このメラニンは紫外線から肌を守るために作られる色素で、通常、ターンオーバーによって古い角質とともに自然と剥がれ落ちていきます。
しかしながら、ターンオーバーのサイクルが遅れてしまうことで、メラニンを含む細胞が排出されず色素沈着が起きてしまいます。その結果、肌にシミができたり、シミが目立つようになったりしてしまうのです。
肌にハリや弾力がなくなる
肌にハリや弾力をもたらすのが、真皮にあるコラーゲン線維やエラスチン線維、またヒアルロン酸です。
コラーゲン線維はエラスチン線維によって繋ぎ合わせられ、真皮全体に網目状に張り巡らされています。また、これら2つの線維は、真皮全体の骨組みの役割を持っています。そして、ヒアルロン酸は2つの線維の隙間を満たすように存在しているのです。
しかしながら、紫外線による繊維組織のダメージや、加齢によるヒアルロン酸が減少することで、肌のターンオーバーに乱れが生じてしまいます。その結果、真皮が表皮を支えきれなくなり、肌にハリや弾力が失われてしまう可能性があるでしょう。
肌が乾燥したり肌荒れしたりする
肌のターンオーバーのサイクルが速まってしまう場合、角質細胞の生成が不完全な状態で進んでしまいます。その結果、角質層は小さく不揃いな角質細胞で構成され、角質細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)の生成も不完全になってしまうのです。
ターンオーバーのサイクルが速まることで、肌は十分な水分保持力を持てずに乾燥してしまいます。さらに、肌が乾燥してしまうことによってバリア機能も低下し、肌荒れを引き起こしてしまう可能性があります。
ターンオーバーについて理解を深めよう
今回の記事では、肌のターンオーバーについて詳しく紹介してきました。健やかで美しい肌を目指すためには、ターンオーバーのサイクルや働きを正常に保つことが大切です。
そのためには本記事を参考にしながらターンオーバーについて正しく理解し、普段のスキンケアや生活習慣を見直してみてください。
監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)
順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。