【専門家監修】顔の湿疹の原因とは?対処法やその他の肌トラブルも解説
「顔に湿疹ができたけど原因はなに?どのくらいで治る?」
「肌トラブルにはどんな種類があるの?」
「普段から予防する方法や対策の仕方はあるの?」
コロナ禍でマスクをつける機会が増え、大人から子供まで肌トラブルが多くなりました。顔の湿疹や肌トラブルがあると、メイクもしづらくなります。
本記事では、顔の湿疹や肌トラブルの原因と自分でできる対処法やその他の肌トラブルの種類、予防法を解説しています。キーポイントは、肌のバリア機能です。
この記事を読むことで適切なスキンケア方法を知ることができるため、肌トラブルを減らす手助けとなるでしょう。
少しでも湿疹や肌トラブルに悩んでいる方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
そもそも湿疹とは?
湿疹とは、よく耳にする皮膚トラブルの一種です。症状としては、かゆみを伴う紅斑やカサカサした乾燥性の鱗屑、患部が盛り上がったような状態の丘疹などがあります。さらに悪化すると、水ぶくれになったり膿だまりを起こしたりすることがあります。
一時的な湿疹で経過が良好な場合はかさぶた状になり完治に向かいますが、治りかけに引っ掻いてしまったり頻繁に触ってしまったりすると、なかなか良くならずに悪化と回復を繰り返します。
悪化と回復を繰り返した肌は分厚くなってしまったり、色素沈着を起こしたりすることがよくみられます。
出典:湿疹・かぶれ|さぎのみや皮膚科クリニック
参照:https://www.saginomiya-hifuka.com/eczema.html
湿疹を発症してしまう原因
湿疹を発症してしまう原因には「外的因子と内的因子の影響」、「肌のバリア機能の低下」が考えられます。外的因子とはダニや花粉といった体の外から影響を及ぼすものです。また、内的因子とはアレルギーやアトピー素因といった体の内側から影響を及ぼすものです。
これらを詳しく解説いたします。
出典:湿疹・かぶれ|さぎのみや皮膚科クリニック
参照:https://www.saginomiya-hifuka.com/eczema.html
外的因子と内的因子の影響
上記のとおり外的因子と内的因子が相互に関係し、湿疹が発症すると考えられます。
皮膚の表面から毛穴などを通し侵入した外的異物(ハウスダスト・薬剤・化学物質など)に対して、体がこれらを排除しようとするのが炎症反応(湿疹)です。また、圧迫や摩擦といった外的刺激も湿疹を引き起こす原因となります。
炎症反応(湿疹)が出るまでのスピードや程度などは、内的因子によりそれぞれ異なります。そのときの健康状態や発汗・皮脂の分泌の程度、体質などが内的因子です。
肌のバリア機能の低下
本来、正常な肌は外的異物の体内への侵入や水分の蒸発を防ぐために、保湿された状態となっています。しかし、何らかの影響でこのバリア機能が低下してしまうと、外的異物が侵入しやすい状態となり湿疹が出やすくなってしまいます。
また、肌のバリア機能が低下していると水分が蒸発しやすく乾燥しがちです。そうなると外的異物をブロックできずに湿疹が出るため、かゆみにより掻きこわすことが多くなり、悪循環になってしまいます。
湿疹以外にもある顔の肌トラブル
人間の肌はとてもデリケートにできています。特に顔はトラブルが出現しやすく、目立つ場所です。よくある顔の肌トラブル10選を、以下にて解説します。原因や予防法を把握し対処しましょう。
汗が原因で起こる「汗かぶれ」
汗には、体温の調節や皮膚を乾燥から守るなどの役割があります。しかし肌のバリア機能が低下していると、汗かぶれを起こす原因となります。
汗かぶれの正式名称は「接触性皮膚炎」と言います。汗をかいてふやけた状態の肌と衣類などが接触することで起きるトラブルです。これは、汗に含まれるアンモニアや塩分といった成分が肌を刺激するため起こります。
出典:汗と皮膚炎の関係|ららぽーと横浜クリニック
参照:https://lala-clinic.jp/article.php/2021040216013341
汗腺が詰まることで起きる「あせも」
あせもは汗を排出するための汗腺が詰まってしまい、炎症を起こした状態です。かゆみを伴うことが多く、赤い点や白い点がある丘疹(ぶつぶつ)がよくみられます。子どもに多くみられる肌トラブルです。
主な原因は、汗をかいた際に、すぐに拭いたり洗い流したりせずに過ごすことです。おのずと汗をかきやすい、暑く湿度の高い時期は発症頻度も増えます。
出典:汗疹(あせも)|仙川駅前すずきクリニック
参照:https://www.sengawaclinic.com/treat/dermatology/heat_rash/
化粧品が原因で起こる「化粧かぶれ」
化粧品の中には刺激の強い成分が入っていることがあるため、化粧品を使用して肌の赤みやかゆみ、ほてり、湿疹が出る場合は「化粧かぶれ」を疑います。
化粧かぶれは誰にでも起こりえるものですが、肌のコンディションが不安定なときは、特に症状が出やすいとされています。
アレルギーの原因にもなりやすい香料は、化粧かぶれの原因の第一位です。香料フリー、防腐剤フリーの化粧品を選ぶことが化粧かぶれの予防となります。
出典:皮膚の病気 / 09化粧品かぶれ|雑色皮フ科
参照:https://www.zoushikihifuka.com/disease_09.html
皮脂の分泌が多いところにできる「にきび」
にきびは、毛穴の中に皮脂がたまる、または毛穴が詰まりアクネ菌が増えることで起きる炎症です。一口ににきびと言っても段階があり、数種類に分けられます。
まず毛穴が閉じた状態のものを白にきび、毛穴の先が開いた状態のものを黒にきびと言います。ここから炎症を起こすと一般的な赤い丘疹となります。
さらに炎症が進むと膿がたまった状態のにきびになります。そして経過が不良の場合にはでこぼこと盛り上がったりへこんだりして、ボコボコした跡が残ります。
肌の乾燥はにきび対策にとって大敵です。低刺激性の保湿剤でしっかりと保湿することが重要です。一般的に皮膚科では、デュアックやダラシンといった軟膏が処方されます。
虫に刺されることで起こる「虫刺され」
虫刺されはその名のとおり、虫に刺されることで起きる炎症反応です。とても身近な皮膚病で、強いかゆみを伴った赤い丘疹を想像される方が多いでしょう。実際には刺されたときに痛みを感じたのち、肌から注入された物質に対してのアレルギー反応としてかゆみが発生します。
予防対策は、屋内では殺虫剤や防虫剤を使用し虫を駆除すること、屋外では肌を露出しないことや虫除けスプレーを使用することが重要です。そして、特に毛虫などには触れないことです。
目の周りなど皮膚が薄いところにできる「稗粒腫」
稗粒腫とは、皮膚表皮の下に発生した直径1~2mmの表皮腫瘍や粉瘤です。腫瘍と言っても良性ですので、放置しても特に支障はなく過度な心配はいりません。
見た目はよく白いぶつぶつ、小さいぶつぶつと表現されます。目の周りなど皮膚が薄いところにできやすく、白にきびとよく似ています。特徴として、痛みもかゆみもないことがほとんどです。
出典:稗粒腫(はいりゅうしゅ)とは|明治通りクリニック
参照:https://meijidori-clinic.jp/treatment/skin/milium.html
にきびに似ている「毛嚢炎(毛包炎)」
毛嚢炎(毛包炎)とは、毛穴の奥の毛根部分が黄色ブドウ球菌などを原因として引き起こされる細菌感染症です。毛穴部分に丘疹ができ赤く腫れ、膿を持ち、周辺にも広がった状態となります。しばしば痛みやヒリヒリとした熱感を伴います。
いわゆるにきびも、この毛嚢炎(毛包炎)の一種です。一般的に、毛嚢炎(毛包炎)がさらに悪化した状態をせつ(おでき)、おでこの中心にできたものをめんちょうと呼ぶこともあります。
予防法は皮膚を清潔に保つことと肌のバリア機能を保つことです。低刺激性の保湿剤を使用し、肌の水分量をキープすることが大切です。
出典:毛包炎(毛嚢炎)|巣鴨千石皮ふ科
参照:https://sugamo-sengoku-hifu.jp/symptoms/folliculitis.html
しばらくすると消えてしまう「蕁麻疹」
蕁麻疹は突然肌が部分的に赤く盛り上がり、数十分から半日程度で消えてしまう点が特徴の病気です。ピリピリとかゆいことが多いですが、そのときの症状の具合などにより個人差が大きいです。また、出たり消えたりとぶり返すこともあります。
蕁麻疹の原因は摂取した食べ物に対するアレルギー反応、物理的な外的刺激、ストレスなどがあげられます。これらを取り除くことが予防の第一歩となります。
全身に広がることもある「アトピー性皮膚炎」
アトピー性皮膚炎とは、肌の乾燥とバリア機能が低下した状態に外的刺激が加わりアレルギー反応を起こし、慢性的に湿疹を繰り返す皮膚炎です。軽症から重症まで程度があり、湿疹の範囲も一部分から体全体にいたるまで個人差があります。
アトピー性皮膚炎の治療は病院での治療が主体となりますが、肌を清潔に保つことと肌が保湿された状態を保つことは必須です。皮膚科で処方されるヒルドイドローションやプロペトなどで、指示どおりしっかりと保湿しましょう。
主に子供にできる「みずいぼ」
みずいぼの正式な病名は「伝染性軟属腫」と言います。
伝染性と名前がつくとおり、保育園・学校などの集団生活やプール、温泉浴場、タオルの共有などを通して人にうつるウイルス性の感染症です。まだ免疫力が十分でない子供(主に7歳から8歳まで)が発症しやすく、手足や下腹部・太ももの内側などにポツポツと出現します。
自然治癒することもありますが、症状や経過を見て医師が治療方法を判断します。予防法は手洗いをすること、タオルなどの共有をしないこと、水に触れた後は肌のバリア機能が低下しやすいためよく保湿することです。
もし自分(または子供)が感染している場合は患部を絆創膏などでガードして、他者への感染を防ぐことも重要です。
出典:水いぼ(伝染性軟属腫)について|ひまわり医院
参照:https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/water-warts/
顔に湿疹や肌トラブルが起きたときの対処法
顔の湿疹や肌トラブルには予防が大切だというお話をしてきました。しかし、どんなに予防していても心身のコンディションや栄養不足により、湿疹や肌トラブルが起きることはあります。そのようなときは、原因を探りしっかりと対処することが大切です。
自身でできる対処法3選をご紹介します。
肌を清潔に保つことを心がける
まずは肌を清潔に保つことを心がけます。たっぷりと泡立てた洗顔料で優しく洗顔しましょう。
洗顔後は清潔なタオルでおさえ拭きし、肌を包み込むように丁寧に保湿剤を浸透させます。洗顔以外にも、枕カバーなどの寝具は定期的に洗濯し清潔なものを使用しましょう。
冷やしてかゆみをおさえるようにする
かゆみが強いとき、掻きむしってしまうと肌を傷つけ、湿疹や肌トラブルが悪化させてしまいます。掻くことでさらにかゆみの症状も強くなります。
そうならないためには患部を冷やして、かゆみを抑えるようにしましょう。冷やすと毛細血管が収縮し、炎症もおさえられます。
出典:かゆい時は、掻きむしらずに冷やす|山本メディカル逗子駅前皮膚科
参照:https://yamamedi-zushi-ekimae-hifuka.jp/375/
かゆみが強いときは薬を使ってみる
かゆみが強いときはドラッグストアや薬局で買える、顔湿疹かゆみ市販薬を使ってみるのもひとつの方法です。代表的なものとして、リンデロンやポリベビー、オロナイン、フルコートなどは入手しやすいでしょう。
ただし、ステロイド外用剤などは皮膚科医の指導のもと正しく使用する必要があります。以前、処方された外用薬を自分の判断で使用することは控えましょう。(デルモゾール、ロコイド、リドメックスなどは代表的なステロイド外用剤です。)
また、なかなか治らない、市販薬が効かない、患部がどんどん腫れる、広がるなど急速に悪化している場合は病院を受診しましょう。
顔の湿疹や肌トラブルの原因を知って対策しよう
顔湿疹や肌トラブルは予防が大切です。肌を清潔に保ち、低刺激性の保湿剤を使いしっかりと保湿することが一番の予防法となります。そして、湿疹や肌トラブルが起きてしまったときにはその原因を知り正しく対策をしましょう。
監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)
順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。