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【専門家監修】pH調整剤の危険性とは?化粧品に使用される成分も解説

「化粧品に入っているpH調整剤って何?」
「pH調整剤は危険ではないの?」
化粧品を使っていても、pH調整剤のように配合されている成分についてあまりよく知らない、という方は多いのではないでしょうか。

 

この記事では、そもそもpH調整剤とはどんな成分なのか、化粧品に使われているpH調整剤にはどんなものがあるのか特徴や種類について、pH調整剤が化粧品に使われる理由とともに紹介しています。

 

この記事を読むことで、pH調整剤について詳しい知識を得られるでしょう。その知識を元にpH調整剤に対して理解を深め、化粧品を選ぶ際にどの化粧品を選んだ方がよいのか、適切に判断できるようになります。

 

化粧品に含まれているpH調整剤について疑問や不安があるという方は、ぜひチェックしてみてください。

そもそもpH調整剤は何か

一般的に「pH調整剤」というと、食品のpHを適切な値に保つための食品添加物という意味で使われています。食品のpH(酸性、アルカリ性)の値が微生物の増殖に影響を与えることから、微生物の増殖を抑えられる値のpHを保つために、食品添加物のpH調整剤は使われています。

 

pH調整剤は化粧品にも使われています。肌の表面は通常、弱酸性に保たれているのですが、このバランスが崩れると肌のバリア機能が低下したり、肌トラブルが起こったりすることがあります。肌のpHバランスを保つために、化粧品にもpH調整剤が配合されています。

 

出典:乾燥肌に「弱酸性洗顔料」の選択肢。でも注意点あり。|宮の森スキンケア診療室
参照:https://www.m-skin.com/archives/5150/

pH調整剤の危険性とは

pH調整剤は使用量が多くなると危険性があることから、使用量には制限があります。また人体の健康を損なう可能性がないものとして、pH調整剤として厚生労働省が定めたもの以外は、pH調整剤としては使用できなくなっています。

 

pH調整剤は食品添加物ですが、化粧品のアルカリ性や酸性を一定の値で保つために、また化粧品の成分を安定させるという目的のために使われている成分です。

 

出典:「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A|食品安全委員会
参照:https://www.fsc.go.jp/dial/dialqa20170608_3.html#a332

化粧品に使用されるpH調整剤の5つの成分

ここでは、化粧品に使用されているpH調整剤の成分を5つ紹介します。

 

化粧品にpH調整剤が配合されているか確認するには、表示をチェックするのが一番です。表示指定成分であればその成分が表示されていますし、表示指定成分外のpH調整剤であれば、一括してpH調整剤と表示されているでしょう。

 

出典:医薬部外品の成分表示に係る日本化粧品工業連合会の基本方針|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/common/download/business/ingredients/qdlnplan.pdf

1:水酸化ナトリウム

「水酸化ナトリウム」は食塩水の電気分解で得られるアルカリ剤であり、苛性ソーダとも呼ばれ、pH調整剤として化粧品に使われることがあります。

 

強力なアルカリ剤で危険性があるものの、化粧品には安全な基準で配合されています。しかしときに皮膚炎の原因となってしまう可能性はあります。もしお使いの化粧品に水酸化ナトリウムが含まれていて、かゆみや赤みがでてしまった場合は、注意が必要でしょう。

 

眼に対しても損傷を与える可能性があるとされているため、眼に入らないよう注意が必要です。

 

出典:水酸化ナトリウム|厚生労働省
参照:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1310-73-2.html

2:トリエタノールアミン(TEA)

「トリエタノールアミン(TEA)」は酸性機能成分を中和させるため、化粧品に配合されていることのあるpH調整剤の1つです。トリエタノールアミンはpH調整のため以外でも、化粧品成分の乳化や分散を目的として、湿潤剤や希釈剤としても配合されることがあります。

 

皮膚や眼に対する刺激があること、またアレルギー性皮膚反応を起こす可能性があることなどが報告されています。刺激を控えるためにも、皮膚炎や湿疹がある際には使用しない方がよいでしょう。

 

出典:トリエタノールアミン|厚生労働省
参照:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/102-71-6.html

3:水酸化カリウム

「水酸化カリウム」はアルカリ剤としてpH調整に使われる成分で、水酸化ナトリウムよりも水に溶けやすいとしてクレンジングや液体の石鹸等によく使われています。

 

皮膚の薬傷や眼の損傷などの報告があり危険性のある成分ではありますが、化粧品に配合される際には配合量は低く、また危険性は排除されています。ただそれでも、肌の状態によっては影響を受ける可能性はあるため、過信は禁物でしょう。

 

出典:水酸化カリウム|厚生労働省
参照:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0598.html

4:コハク酸

「コハク酸」は酸性を示す有機酸として、化粧品のpH調整剤として使われています。

 

コハク酸の危険性は、眼の損傷について報告されています。ただ皮膚への刺激については報告がありません。コハク酸は肌の収れん作用があるとされており、肌の引き締め効果や発汗を抑える効果が期待できます。

 

コハク酸は収れん化粧品として、化粧水やアフターシェービングローションなどに使われています。

 

出典:収れん|日本化粧品技術者会
参照:https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/773

5:グリコール酸

「グリコール酸」はpH調整剤として化粧品に配合される他に、ピーリング剤に使われる「フルーツ酸」としても有名な成分です。

 

グリコール酸は浸透性が高く、医療機関専用でケミカルピーリング剤として使われているほど、ビーリング剤としての効果が期待できます。ピーリング後も皮膚の赤みや色素沈着が起こりにくいため、刺激が少ないとされており、敏感肌の人にもおすすめのピーリング剤となっています。

 

出典:グリコール酸ピーリング・サリチル酸ピーリングについてのご説明|花輪皮膚科
参照:https://hanawahifuka.com/original/content21/

pH調整剤が化粧品に使用される理由

本来健康な肌は、皮脂による常在菌の働きによって弱酸性を保っていることが知られています。肌は弱酸性に保たれることにより、有害となる細菌が繁殖しにくくなるためです。

 

化粧品や洗顔によって肌に必要な皮脂まで落としすぎてしまうと、弱酸性の状態を維持できなくなります。やがて乾燥肌になってしまい、皮膚炎といった肌トラブルの原因になってしまうことがあるでしょう。

 

化粧品に含まれるpH調整剤は、この肌の弱酸性を保つために使用されています。

 

出典:乾燥肌に「弱酸性洗顔料」の選択肢。でも注意点あり。|宮の森スキンケア診療室
参照:https://www.m-skin.com/archives/5150/

pH調整剤の危険性について正しく理解しよう

pH調整剤には危険性があることから、使用基準や使用料が定められています。しかし肌を健康に弱酸性の状態で保つためには、pH調整剤は必要な成分でもあります。

 

pH調整剤の危険性を理解することは大切ですが、pH調整剤が必要であることも理解し、自分の肌の調子やメイクの濃さなどから石鹸やpH調整剤を使い分けてみましょう。

 

出典:乾燥肌に「弱酸性洗顔料」の選択肢。でも注意点あり。|宮の森スキンケア診療室
参照:https://www.m-skin.com/archives/5150/

 

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監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)

順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。

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