【専門家監修】化粧品の着色料とは?植物由来のものや一緒に確認したい成分も解説
「化粧品には着色料が含まれているって本当?」
「いったい何のために化粧品に着色料が使われているの?」
化粧品には着色料や香料のような添加物がよく使われていますが、どうしてそういったものが使われているのか、気になる方もいるでしょう。
本記事では、化粧品に使われる着色料について解説しているほか、着色料以外で確認した方がいい化粧品の成分や「無添加」とはどういう意味なのかなどについて、紹介しています。
この記事を読むことで、化粧品に使われている着色料や他の成分の詳しい知識を得られるでしょう。その知識を元に、より添加物の少ない化粧品を選ぶことができるようになります。
化粧品の着色料や、他の成分について知りたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみて下さい。
化粧品に着色料で色をつける理由
現在販売されている化粧品は、色鮮やかで華やかな化粧品が多くなっています。本来、着色料は必ず必要という訳ではありません。しかし化粧品をより売れやすく、また魅力的に見せるために使われていると考えられるでしょう。
化粧品に使われる着色料
現在化粧品に含まれている着色料は、大きく分けて3種類に分けられます。金属や鉱石の化学反応から作られる「無機顔料」、植物など天然のものを由来とした「天然色素」、多くの色をもつ「有機合成色素(タール色素とも)」の3種類です。
これらの色素の中には、厚生労働大臣が医薬品や化粧品への配合を認めた「法定色素」と、企業等が安全性を確認した上で配合している企業責任の色素があります。
出典:化粧品に配合可能な法定色素・防腐剤・紫外線吸収剤|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/glossary/ingredient
有機物を含まない「無機顔料」
有機物を含まない「無機顔料」は、有機顔料ほどの彩度はありませんが、値段が安価な傾向にあることや耐光性や耐熱性、そして安全性が優れていることが特徴です。
無機顔料はあまり彩度がないため、ファンデーションのような彩度の必要性が低い化粧品に多く使われています。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
感触や密着性を調整できる「体質顔料」
「体質顔料」は基本的には色をつけるためというよりも、なめらかな質感や光沢をだすために用いられることが多い着色料です。無機顔料であるため、そもそも着色料としての彩度はあまりありません。
体質顔料には、タルク(滑石)やマイカ(雲母)、カオリンなどがよく使われています。タルクは、ベビーパウダーによく使われているでしょう。マイカはパウダーファンデーションに用いられることが多く、カオリンはファンデーションによく使われている着色料です。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
光沢を調整できる「パール顔料」
化粧品の光沢を調整するために使われるのが、「パール顔料(真珠光沢顔料)」です。かつては魚の鱗から作られた魚鱗箔も使われていましたが、現代では雲母チタン(酸化チタン被覆雲母)やオキシ塩化ビスマスなどがよく用いられています。
雲母チタンは、口紅やアイシャドウなどの化粧品でキラキラした光沢をだすために使われています。オキシ塩化ビスマスは、ネイルカラーの光沢をだすために使われることが多いでしょう。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
様々な色にできる「着色顔料」
「着色顔料」は化粧品の着色料というより、着色された色を調整するために使われることが多いでしょう。ベンガラや黄酸化鉄、グンジョウなどが、着色顔料としてよく用いられています。
酸化鉄と聞くと、肌を酸化させるように感じる方もいるでしょう。しかし酸化鉄は、自然な肌色をだすために重要な着色料であり、多くの化粧品に用いられています。グンジョウは、アイライナーやマスカラといったアイメイクによく使われているでしょう。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
白色がベースである「白色顔料」
白色がベースとなっている「白色顔料」は、化粧品の色の調整や、シミやくすみ、ソバカスなどを隠すためにもよく用いられている着色料です。
さらに、着色料として使われるだけでなく、紫外線から肌を守るためのサンスクリーン製品として活用されている場合もあるでしょう。
近年では研究が進み、薄片状あるいはローリング効果のある球状の酸化チタンも使われるようになっています。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
植物などが由来である「天然色素」
「天然色素」は、動植物由来や微生物由来の化粧品の着色料のことです。天然色素は天然のものからとった色素であるため、彩度があまりなく、着色料として主に使われることは少ないでしょう。
出典:肌を彩る ―化粧品に配合される色材―|日本化粧品工業連合会
参照:https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/colorant
赤色や黄色などの「カロチノイド色素」
「カロチノイド(カロテノイド)色素」とは、動植物に存在する赤色や黄色の色素のことです。カロチノイド(カロテノイド)色素を含む食品はエビやオレンジ、トマトといった食卓でおなじみのものをはじめ、ヘマトコッカス色素やマリーゴールド色素などがあります。
水には溶けにくいですが、油には溶けやすいという性質をもっています。しかし化粧品としての発色はあまりよくはないため、主な着色料としては使われないでしょう。
出典:カロテノイド(かろてのいど)|厚生労働省
参照:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
黄色や褐色などの「フラボノイド系色素」
「フラボノイド系色素」とは、多くの植物の花や葉、根の部分などに含まれている化粧品の着色料です。代表的な色素としては、カカオ色素やウコン色素などがあるでしょう。全体的に黄色から茶色、褐色の色素となっています。
フラボノイド系色素は元が自然界の植物であり、植物が紫外線や害虫から身を守るために生成しています。そのため、口に含むと苦みを感じることが特徴でしょう。
赤色や橙色などの「キノン色素」
「キノン色素」とは、菌類や昆虫などからとれる天然色素のことです。キノン色素の中にはエンジムシ(コチニールカイガラムシ)から得られるコチニール色素や、ラックカイガラムシの分泌液からとれるラック色素があります。
しかし現在、コチニール色素は急性アレルギー反応(アナフィラキシー)の国内研究情報が提供されたことにより、注意喚起されています。コチニール色素を配合した化粧品で何らかの反応がでた場合は、病院を受診した方がいいでしょう。
様々な色を表現できる「有機合成色素(タール色素)」
「有機合成色素(タール色素)」とは、1996年に厚生労働省が医薬品等に使用できると認めた色素のことです。様々な色を表現できることから、有機合成色素(タール色素)は多くの化粧品で用いられています。
化粧品に用いられている有機顔料といえば、ほとんどがこちらの有機合成色素(タール色素)になるでしょう。
出典:○医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81074000&dataType=0&pageNo=1
「顔料」と「染料」について
よく着色料として「顔料」や「染料」といった表記を見かけることがありますが、この2つの違いをご存じでしょうか。
溶剤に溶けるものを染料と呼び、溶剤でも溶けないものを顔料と呼んでいます。溶剤に溶けて染料として使えるかどうかで、染料と顔料は分けられていると言えるでしょう。
染料は古くから服を染めるために使われてきました。色々な種類の染料を組み合わせて使われることもありますが、染料は光に当たりすぎると色が褪せてしまうことがあります。
「顔料」と「染料」を見分けるのは難しい
着色料として見ただけでは、顔料なのか染料であるのか区別しにくいことに注意しましょう。しかし染料は溶剤に溶けるため、溶剤を使えば顔料と見分けることは可能です。
顔料は溶剤に溶けることはありませんが、染料と比較すると耐光性や耐水性に優れているという特徴をもっています。
着色料以外にも確認しておくといい化粧品の成分
化粧品の中には、本来はあまり必要のない成分が含まれていることがあります。着色料もその1つですが、他にも香料や防腐剤など確認しておきたい成分があるため紹介します。
肌に合わない化粧品や刺激の強い化粧品を使ってしまうと、ときにアレルギーや化粧かぶれを引き起こすことがあります。化粧品を購入する段階から、どんな成分が含まれているのかをしっかり確認し、自分の肌に合う化粧品を選ぶようにしましょう。
出典:皮膚の病気 / 09化粧品かぶれ|雑色皮フ科 大田区雑色で皮膚科・アレルギー科をお探しの方はこちら
参照:https://www.zoushikihifuka.com/disease_09.html
パラベンなどの「防腐剤」
市販されている化粧品にはパラベンなどの「防腐剤」が含まれていますが、防腐剤が肌に合わなかった場合には、皮膚の炎症(接触性皮膚炎)の原因になる可能性があります。
しかし、防腐剤は化粧品の変質を防ぐために配合されている成分です。基本的に多くの化粧品には、パラベンやイソチアゾリンミックスなどの防腐剤が使われているでしょう。
防腐剤を避けることは非常に難しいですが、小さな容器の化粧品であれば、早めに使い切るという想定の元で防腐剤の量が少ないか、使われていない可能性があります。使用期限が表示されている化粧品にも同じことが言えるため、それらの化粧品を選んでみましょう。
出典:接触性皮膚炎 各論そのⅩⅧ|皮膚科なら札幌市東区の東豊ひふ科へ
参照:https://tohohihuka.com/detail2.html?no=49428
日焼け止めなどに含まれている「紫外線吸収剤」
日焼け止めなどに含まれている「紫外線吸収剤」は、ときにアレルギーの原因となることがあるため、注意しましょう。
化粧品の場合は、紫外線吸収剤を使用しているかどうかを表示することが義務づけられています。しかし、容器の成分表示に表示しきれない場合は、添付書類等に表示されていることもあるため、使用前にそちらも確認する必要があるでしょう。
すべての日焼け止めに、紫外線吸収剤が使われている訳ではありません。アレルギーをおもちの方は、紫外線吸収剤を含まない日焼け止め化粧品を使うようにしましょう。
出典:日焼け止め化粧品によるアレルギーに注意! |群馬県庁
参照:https://www.pref.gunma.jp/03/c0900006.html
合成成分と天然成分がある「酸化防止剤」
合成成分と天然成分のある「酸化防止剤」は、化粧品に使われている成分が酸化することを防ぐために配合されています。
天然成分の酸化防止剤としてはトコフェロールやアスコルビン酸、クロロゲン酸やカテキンなどがあります。合成成分は、ブチルヒドロキシトルエや没食子酸プロピルなどです。
化粧品に含まれる酸化防止剤や防腐剤は、ときに肌の角質層を傷つけバリア機能を損ない、結果的に乾燥肌を招いてしまうことがあるため、使用する際は注意しましょう。
出典:Dr.きよ子の肌相談|さくらクリニックながれやま
参照:https://sakura-clinic-nagareyama.jp/blog?date=2021-05-8
天然香料に似せて作られている「合成香料」
化粧品の中でも化粧かぶれを起こしやすいと言われているのが、「香料」です。香料には天然香料と、天然香料に似せて作られた合成香料があります。
天然と合成と聞くと天然の方がよいのではないか、と考える方も少なくないでしょう。たしかに合成香料は化学物質であるため、リスクはあります。しかし天然香料にも不純物が含まれている可能性が高いこと、質にバラつきがでることなどのデメリットはあるでしょう。
どちらにしても、化粧かぶれが起こってしまった場合は、早めの対処が必要になります。
出典:化粧品かぶれの原因は?予防方法と医師のお勧めを紹介します。|はなふさ皮膚科・美容皮膚科
参照:https://mitakabiyou.com/column/cosmetics
ワセリンなどの「鉱物油」
ワセリンなどの「鉱物油」は、鉱物由来というだけで悪いものという訳ではありません。以前は、不純物も含まれていたためにトラブルを起こすこともあったようですが、現在では技術の進歩により、精製度の高いものが使われています。
しかしワセリンをつけることで、毛穴をふさいでニキビの原因になったり、自力で潤う力が弱まってしまい、結果的に乾燥肌になったりする可能性があります。
また鉱物油は、簡単に洗っただけでは落ちにくいという特徴をもつため、強いクレンジング剤を使うことで、肌への負担が大きくなる可能性があるでしょう。
出典:お肌に良いオイルとは|美容皮ふ科白崎医院
参照:https://shirasaki-biyou.com/blog/%E3%81%8A%E8%82%8C%E3%81%AB%E8%89%AF%E3%81%84%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%81%AF/
シャンプーなどに使われる「合成界面活性剤」
シャンプーにはサルフェート(硫酸系化合物)をはじめとした、「合成界面活性剤」がよく使われています。中でも、シャンプーやボディソープに使われることの多いアニオン系界面活性剤は、皮膚炎を起こしやすい合成界面活性剤と言われています。使用する際には注意しましょう。
また、シャンプーだけでなく化粧品にもよく使われているため、できるだけ界面活性剤フリーのものを選ぶといいでしょう。
出典:化粧品かぶれの原因は?予防方法と医師のお勧めを紹介します。|はなふさ皮膚科・美容皮膚科
参照:https://mitakabiyou.com/column/cosmetics
化粧品に表示されていることがある「無添加」の意味
化粧品の中には「無添加」と表示されている化粧品があります。無添加化粧品とは、化粧品で起こったトラブルを元に「表示指定成分」と指定された成分を、含まない化粧品のことです。
ここからは、無添加化粧品を使うメリットを詳しく紹介していきます。
無添加化粧品を使うメリット
ここでは、無添加化粧品を使うメリットを紹介します。
ただ、無添加化粧品とひとくちに言っても、実際に何が無添加なのかを確認する必要はあるでしょう。例えばオイルフリーや着色料フリーと書いてある化粧品は、オイルや着色料は無添加でしょう。しかし他の成分については記載がないため、無添加とは限りません。
無添加化粧品を使う際には、何の成分が無添加になっているのかをしっかり確認しましょう。
美容成分が肌に届きやすくなる
無添加の化粧品は余計な添加物が含まれていないため、それらの添加物に邪魔されずに美容成分が肌に届きやすくなるというメリットがあります。
無添加化粧品の場合、美容成分のみがしっかりと化粧品に含まれています。このことから、肌に美容成分が浸透しやすくなるでしょう。
肌への負担を軽減できる
無添加化粧品の中にはオイルフリーや界面活性剤フリー、香料フリーのものや防腐剤が含まれていないものもあり、肌への刺激が少ないというメリットがあります。
添加物を極力省いた無添加化粧品は、肌に対してもやさしい化粧品になります。多くの成分が無添加の化粧品であれば、敏感肌の人でも安心して使えるでしょう。
出典:無添加&オイルフリーのやさしさ|WASSER(バッサ)
参照:https://www.wassershop.jp//concept/#free
化粧品の着色料について知っておこう
化粧品には着色料や香料、防腐剤や酸化防止剤など様々な成分が含まれています。ときにはそれらの成分により、化粧かぶれやアレルギーといった症状がでてしまうこともあるでしょう。
敏感肌の人や、肌トラブルが起きやすいという方は、化粧品の着色料といった添加物はどういう影響があるのかを知り、そういった成分を含まない無添加の化粧品を使うことをおすすめします。
監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)
順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。