【専門家監修】化粧品に含まれる石油系成分の危険性とは?種類と選び方も紹介
「化粧品にたくさん成分が書いてあっても、どれを見ればいいか分からない」
「肌に優しい化粧品を選ぶポイントって何だろう?」
このように、毎日使う化粧品であるにもかかわらず、細かい成分やその危険性について疑問があるままという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、化粧品に含まれる石油系成分の危険性や、各成分の特徴、注意するポイントを紹介しています。さらに、これから化粧品を選ぶ際に、注目しておくとよいポイントも確認していきます。
化粧品に含まれる成分の知識を身につけることで、自分の肌や目的に合わせた選び方ができるようになるでしょう。
化粧品に含まれる石油系成分の危険性について知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
化粧品に含まれる石油系成分の危険性とは?
石油系成分と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
例えば、界面活性剤ですが、これは主に水と油をなじませるために使われるものです。界面活性剤は、食器用洗剤と同じ成分で、化粧品だけではなく、シャンプーやリンスにも使われています。
化粧品の栄養とされる成分を、無理に肌の奥深くまで浸透させるということは、その化粧品に含まれる界面活性剤のような化学物質の侵入も許してしまいます。
すると、角質層の破損が起きることによる肌サイクルの乱れや、肌のバリア機能が失われて乾燥が進み、肌トラブルを引き起こす危険性があるでしょう。
化粧品における成分表示について
現在は、化粧品の全成分表示が義務付けられています。しかし、それまでは、102の表示指定成分を化粧品のラベルに表示する義務がありました。
102の表示指定成分とは、「使う人の体質によってまれにアレルギー等肌トラブルを起こす恐れのある成分」のことです。
全成分表示が始まり、成分を見て商品を選べるようになった一方で、なるべく避けたい102の成分が分かりにくくなりました。より安全な化粧品を選びたいときは、102の旧表示指定成分を参考にしてみましょう。
出典:102の旧表示指定成分一覧表|一般社団法人日本オーガニックコスメ協会
参照:https://joca.jp/?page_id=448
化粧品に含まれる場合がある代表的な石油系成分
化粧品に含まれる石油系成分の危険性や、現在の成分表示をめぐる注意点について、紹介してきました。
ここからは、化粧品に含まれる代表的な石油系成分を7種類紹介します。成分によって異なる危険性も確認してみましょう。
鉱物油
鉱物油は、化粧品に配合されるとミネラルオイルやワセリン、パラフィンという名前で呼ばれます。鉱物油の別名はミネラルオイルですが、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルとは、全くの別物です。
鉱物油の特徴は、肌に浸透せず表面に膜を張ることで、外部刺激から肌を守ることができます。その一方で、毎日のスキンケアで使うと、毛穴がふさがりニキビができることがあります。
また、洗っても落ちにくいために洗浄力の強い洗顔料などを使うことになり肌の負担が大きくなるケースがあり、皮膚が自分でうるおう力が弱まることも懸念されるでしょう。
乳化剤
乳化剤は、ラノリンアルコールとも呼ばれます。クリームや口紅、ヘアケア製品、塗り薬に含まれることのある物質です。
乳化剤の特徴は、水と油のようにそのままにしておくと分離する物質同士を、ずっと混じり合うようにしてくれる性質を持つことです。そのため、肌の上でよく伸びて落ちにくくなる作用があります。
しかし、かぶれを起こしやすくなることが懸念されます。これは、乳化剤が化粧品の成分を肌に浸透しやすくなる成分も担うため、肌に影響が出やすくなるのです。
石油系の合成界面活性剤
石油系の合成界面活性剤は主に、洗剤として使われるシャンプーや石けん、リンスやトリートメントに含まれています。また、乳化剤の役割として、化粧品にも配合されています。細かい名称はいくつかありますが、「~界面活性剤」と呼ばれることが多いです。
界面活性剤の特徴は、水と油を混ぜ合わせ、洗浄や泡立てをよくすることです。
界面活性剤は、その成分自体によって肌荒れが起こることは考えにくいですが、使いすぎると肌に必要な皮脂までも落としてしまい、肌荒れの原因になります。
アルコールやカフェインなどと同様に、正しい使い方や使用量を守ることが、安全に使うためのポイントです。
石油系の合成香料
合成香料とは、化学反応を利用した方法で作られた香料のことです。香水をはじめ、化粧品やボディケア用品、石けんやシャンプーに含まれています。配合量は非常に少ないものの、嗅覚的効果は大きく、重要な役割を果たしています。
石油系の合成着色料(合成色素)
合成色素は、色材の1種で、主に皮膚を彩色して美しく見せる特徴があります。合成色素は、有機合成色素とも呼ばれ、発色性や純度の高さから化粧品色材として、広く使用されています。
合成着色料も、界面活性剤などの成分と同じように、成分が直接肌荒れを引き起こすことは考えにくいとされていますが、適切な量を守ることが大切です。
石油系の防腐剤(合成防腐剤)
防腐剤は、化粧品に配合されていて微生物の発育を抑制する特徴があります。
化粧品の中で細菌やカビなどの微生物が繁殖せず、安全に快適に使用できるように製品の品質を保証する薬剤です。多くの化粧品には、厳しい安全性を通過した防腐剤が、配合量の上限内で使われています。
合成ポリマー
合成ポリマーの特徴は、水分を吸収して保持する性質を持つことです。
合成ポリマーが配合されている化粧品を肌にのせると、すぐにつるつるとした手触りになります。これが、瞬時にハリが出たかのような錯覚を生むのです。
合成ポリマーが肌を覆うことで、汗も油も通さなくなり閉そく性をもたらします。そうすると、皮膚のターンオーバーは停滞してしまいます。
【アイテム別】肌に優しい化粧品の選び方のポイント
注意が必要な化粧品の成分を紹介してきました。それぞれの危険性は確認できたでしょうか。
ここからは、4つのアイテムに分けて、化粧品選びのポイントを紹介します。キーワードは、肌に優しいことです。新しい化粧品の購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 化粧水を選ぶ場合
- 洗顔料を選ぶ場合
- コスメを選ぶ場合
化粧水を選ぶ場合
化粧水は大きく3種類に分けられます。名称と特徴は次の通りです。
・柔軟化粧水:肌に水分を補給する
・収れん化粧水:肌を引き締める収れん作用と皮脂に分泌を抑制する作用がある
・ふきとり化粧水:肌表面の汚れや古い角質をふきとる
この3種類の中で、ふきとり化粧水は、ふきとり効果を高めるために、界面活性剤やアルコールが多く含まれる傾向にあります。目的や肌の状態に合わせて選びましょう。
洗顔料を選ぶ場合
洗顔料を選ぶ際は、自分の肌の状態に合わせて、洗浄力や配合成分をチェックすると良いでしょう。
なお、敏感肌や乾燥肌の方は、アルコールが含まれているかどうかを確認しましょう。清涼感を与え、肌への浸透を高める効果が期待できる一方で、刺激になることがあります。
コスメを選ぶ場合
肌に優しいコスメを選ぶ際は、肌に負担がかかる成分やアレルゲンなどの成分が配合されていないことをチェックしましょう。
例えば、石油系界面活性剤や鉱物油、タール系色素、合成香料などを使用していないブランドもあります。自分の目で成分を確認するとともに、使用前にパッチテストをするなど、今の肌に合っているか確かめながら、選ぶようにしましょう。
石油系成分の危険性を理解して化粧品を選ぼう
化粧品に含まれている石油系成分の特徴やその危険性をお伝えした上で、化粧品を選ぶ際のポイントを紹介してきました。
それぞれの成分には異なる特徴があり、その特徴を把握しておくとともに、正しい使用方法や使用量を守ることが大切です。化粧品選びの参考にしてみてください。
監修者
青山ラジュボークリニック
https://rajeubeau-clinic.com/wp/
院長 沼本 秀樹 先生(医学博士)
順天堂大学医学部卒業。医師としてアトピーや敏感肌などの悩みを持った患者と数多く向き合ってきた経験から自身で東京青山にて美容系ラジュボークリニックを開業。女性の肌の悩みを解決できる良質なサービスを提供し続けている。